[決断の時]

あの夕食から一週間―
「日番谷先生、あれ決めたん?」
「は?」

職員室。

市丸のいきなりの質問に、日番谷は疑問の声を漏らした。
「は?じゃ、あらへん。あの話や」
「あぁ・・・今日の放課後、校長に返事を出しに行く予定だ」
「そうなん・・・」

日番谷の返答を聞いた市丸は去っていく。
それを遠くから雛森は聞いていた。
肝心な行く・行かないという単語は聞こえず、少し残念な気持ちも残っていた。
その日は放課後まで、日番谷と何度か会話する機会があったが留学の話については全くしなかった。


夜。
「今日は日番谷くん来るかなぁ・・・」

そんなことを呟きながら台所で料理をしていた。
今日のメニューはグラタンとスープ。
ホワイトソースを作り、スープの具財を切る。


ピンポーン♪
料理も終盤で、グラタンも焼くだけとなったとき。
インターフォンが鳴った。

「はーい!」

通話用の受話器を取り応答する。

「俺だ」
「日番谷くん!!!」

急いで受話器を置き、玄関に向かい鍵を開けドアを開ける。

「・・・悪い、校長との話が長くなった」
「ううん!!・・・早く入って!」

言って日番谷を招き入れる。

「もうちょっとで出来るから待っててね!」
「あぁ・・・」

日番谷の返答を聞き、雛森は台所に向かう。
グラタンを完成させて食事を始める。
が、留学の話をする事はなかった。


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