[心地良い時間]
≪キーンコーンカーンコーン♪≫
チャイムが鳴り、雛森は自分の席に着いた。
授業は大好きな国語。
早く始まらないかなぁ、とわくわくしながら教科書を揃える。
暫くして先生が教室に入ってきた。
だが、国語担当では無い人だった。
「えぇ、今日の国語は自習です。各自、自学自習をするように」
聞いた瞬間、クラスメート達が喜んでいたが、雛森は喜べなかった。
楽しみにしてたのにな・・・と肩を落とす。
ふぅ、と溜息を吐きながら窓の外を見た。
雛森の席は窓側。
外がよく見える。
ふと、一人の人物が目に入る。
木の下で読書している男の子。
今は授業中なのに何故あそこにいるのか。
雛森は疑問に思っていた。
「どうしたんだよ、雛森?」
同じクラスの阿散井が話しかけてくる。
「ん?なんであんなところにいるんだろうって」
「誰が?・・・あぁ、あの噂の1年か」
「噂?」
「知らねぇのか?あいつ成績優秀、運動神経抜群の天才児で、うちの高校の試験なんて満点で断トツのトップ合格」
「・・・そんなんじゃないよ、あの人は」
雛森が溜息を吐きながら言う。
「なんだよ、知り合いか?」
「言わなかったっけ?幼馴染って」
「えっ!?そうだったのか?」
「うん」
言いながら席を立つ。
「おい、どこに行くんだよ」
「ちょっと見て来るの!!!」
「はぁ!?・・・て、お前もしかして・・・」
「先生来たら誤魔化しといてね」
言って雛森は教室を出る。
「なんだ?アイツ・・・」
「知らぬのか、貴様は」
「ルキア」
阿散井を蹴りながら、朽木は隣に並ぶ。
「あの二人の関係は有名ではないか!!!」
「は?有名?」
「親同士が教育委員会の重役で、幼い頃からの知り合い。将来は結婚の約束をしていても可笑しくない、というのは有名ではないか」
「そうなのか?」
「もしや貴様、あの二人の家が金持ちということも知らんのか!?」
「天才児のほうは聞いたことはあるが・・・雛森もなのか?」
「そうだ。扱いには注意しとけ、馬鹿者」
「馬鹿者ってなんだよ、おいルキア!!!」
もめる二人だった。
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