[暑い日]
「・・・で?ここで何してるんですか?雛森先生」
「日番谷先生こそ、保健室に何しに来たんですか?」
「・・・お前こそなんでいるんだよ・・・」
はぁー・・・と、日番谷は盛大な溜め息を吐いた。
今日は体育祭。
学校行事の中では大きいもので、生徒も先生も張り切る。
しかし、暑さが苦手な日番谷はサボろうと思い、保健室を訪れたのだ。
鍵がかかっていたが、ここだけは鍵を持っているので簡単に入れた。
入ったら雛森に会い、今に至る。
「サボりが出ないように見張りです」
「・・・・・・ったく、あのババア・・・」
日番谷はチッと舌打ちをする。
「優しいお母様じゃないの。息子を思って見張りを付けるなんてさ。本当、烈先生は良いわよね」
ここの保健室の管理は日番谷の母である烈がやっているのだ。
ちなみに二人が親子であることは学校には秘密にしている。
親子が同じ学校にいるのは難しいからである。
そのため、名字は旧姓である『卯の花』にしている。
時々、話をするためにこの部屋を使っている。
だから鍵を持っているのだ。
「・・・・・・・・・」
「・・・全く、サボるために鍵貰ってるんじゃないんだから。ほら、諦めて参加しなさい」
「それは俺に死ねと言ってるんだな」
「なんでよ?」
「お前、今まで俺が何回暑さで死掛けたと思ってんだ」
日番谷は昔から熱中症でよく倒れていた。
どんなにこまめに水分補給をしても、帽子を被っても日番谷には全く効果ないのだ。
「・・・・・・それは・・・」
「・・・ったく・・・」
言いながら近くにあった椅子に腰掛ける。
「あ!!!もう・・・」
「うるせぇ」
雛森が文句をいっても平然と座っていた。
「・・・なんで暑さに弱いんだろうね」
「さぁな」
「病気とか?」
「それは無ぇ」
「だよね・・・」
むむ・・・、と雛森は考え始める。
「そんなのどうでも良いだろ・・・それより」
日番谷は、雛森の腕を掴んで己の腕の中に収める。
「・・・・・・・・・・・・っはぁ。もう禁止!!!」
「なんでだよ?」
「ここは人の出入りが多いから!!!・・・それに腕握られたとき思ったんだけど・・・」
「なんだ?」
「もしかして・・・もう暑さにやられてる?」
「・・・そういや、さっきからボーッっとすると思ってたんだよな」
「あぁ!!!もう、早くベットに寝て!!!冷やさないよ」
大変なことに・・・と言おうとした瞬間、日番谷が雛森のほうに倒れ掛かった。
様子からすると、どうやら気を失ってしまったらしい。
「きゃあ!!!日番谷くん・・・いや。ひ、日番谷先生しっかりしてくださーい!!!!」
日番谷からかかる重心が以外に大きくて動けず、あたふたする雛森だった。
+あとがき+
体育祭っぽいネタにしようかと思ったのですが、彼は暑いの苦手なんだっけ・・・と思ってこんなものに。
なかなか楽しく書けましたよ、特に後半が。
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