[秋刀魚〜口は災いの元〜]

十番隊舎。
お昼休みが終わってもう2時間が経過していた。
日番谷は松本が戻ってこないので探しに行こうとしていた。
何処でサボっているのかはいつものことなので分かっているのだが、今日は予想と違った。
なんと、堂々と十番隊舎にいたのだ。
しかも、庭のど真ん中。
パタパタ・・・
普通ならしない音が響く。
日番谷はその場所へ近づいていく。

「おい、松本。何してるんだ・・・?」
「なにって秋刀魚焼いてるんですよ」
「そうじゃない。俺が言いたいのは、何で勤務中に焼いてるか聞いてんだよ」

だが、日番谷は聞いた後にもう一人いることに気が付く。
そうか、と納得した。

「だって勿体無いやん。ゴホッ!ゴホッ!乱菊、僕に向かって扇がんでくれへん?煙いわぁ」
「という、ギンの我侭で焼いてます」

市丸がいたのだ。
毎度毎度、松本を連れてサボるので日番谷にとっては迷惑な人物なのだった。

「うわぁ、美味しそう!!!」
「雛森」

向こうのほうから声が聞こえ、見ると雛森がいた。
手に書類を持っているところをみると、書類を届けに来たようだ。

「雛森ちゃんも食べへん?」

雛森の存在に気が付き、市丸は誘う。

「え、良いですか!?」
「勿論や。あ、日番谷はんは真面目やからいらんやろ?」

ニヤリ、と嫌な笑みを浮かべて日番谷を見る。

「・・・てめぇ、ここを何処だと思ってるんだ?てめぇの三番隊じゃねぇんだぞ」

霊圧が流れる。

「・・・冗談に決まってますがな・・・。そんな恐い顔せんといてな・・・」

冷や汗をかきながら、市丸は言う。

「はいはい。そこまでにしなさい。焼けたわよ」
「お!!!」
「わーい!!」
「・・・」
「隊長も食べてってくださいね」
「・・・おぉ」


NEXT