[桃〜二人だけの時間〜]

「はい」
「は?」

日番谷は雛森に差し出された物体に首を傾げた。

「は?じゃないよ!!!桃だよ!!!」
「それは見れば分かる」
「じゃあなんで、は?って言うの?」
「なんで剥いてない桃を俺に差し出してくるんだ」
「ん?ああ、剥いてもらおうかと思って」

桃を片手に、ニコニコしながらいう雛森。

「それぐらい自分で剥いてこいよ」
「だって他隊の台所を勝手に使うわけにはいかないし・・・」
「いつも使ってんだろうが!!!」

・・・ったく何を改まってだよ・・・と呟く。

「え?使って良いの?」
「良いに決まってんだろ。別に台所は勝手に使っても構わねぇよ」
「はーいw」

雛森はニコニコしながら台所へ入っていった。

「・・・たく」

風呂場以外ならどこでも自由に使っても良いのに。
風呂場が駄目なのは、雛森が無防備だから。
誰が来ても平然としているからだ。
丁度昨日、日番谷が怒ったので雛森は台所も駄目だと思ったのだろう。

「はーいw剥いてきたよ〜!!!」

桃がのっている皿を片手に執務室のほうに戻ってきた。

「おう」
「はい、爪楊枝」
「おう」

雛森から楊枝を受け取り、桃に刺して口に運ぶ。

「・・・・・・ん・・・うまい」
「でしょ?これ、隊員がお土産ですって持ってきてくれたの。桜農園ってところで買ってきてくれたんだって」
「ふーん・・・」
「やっぱりこの季節は桃だよねぇ」
「梨とか葡萄も食うくせに」
「それは食べるよ!!!旬の物なんだし」
「話し繋がってねぇぞ、こら」
「ふふっ」

二人は笑い合う。


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