第16話[五思想]
白哉との会話から数日後。
桃は部屋で考えていた。
記憶はどうしたら戻るのだろう―と。
よく話に聞くのは、思い出の場所に行ってみるということだが、城こそが思い出の場所なので無理だ。
殴ってみるというのも有りらしいが、相手は警察。
姫と言えども逮捕の可能性が有る。
ならばどうすれば良いと言うのだ、と桃は考え込んでいた。
「桃様」
ドアの奥からルキアの声が響く。
「はい、何ですか?」
「史郎という警備の者が来るとのことですよ」
ルキアの言葉に驚く。
「何で私に言うの?」
ルキアは知らないはずだ。
それに、彼女はイヅル王子以外の男と謁見させるのは許してくれない。
例え恋次であろうとも。
「・・・緋真様からの伝言です」
キッパリ言う。
やはり・・・と桃は肩を落とす。
それと同時に少し驚く。
緋真が知っていることに驚いたのだ。
白哉は知っているのだから、緋真が知らないとは思っていなかったが、本当に知っているとは。
「行かれるのは良いですが、邪魔にならないように」
「分かっていますよ」
ルキアが説教のように言うので、ふてくされたような口調で告げる。
それっきり返事は来なくなった。
いなくなったようだった。
それを知り、桃は着替えを始める。
勿論、彼に会うために―
城の外、門付近。
「さて・・・仕事頑張るかな・・・」
史郎が仕事に向かっていた。
「・・・桃姫様に会ったら謝らないとな・・・」
一応自分が悪いらしいし、と。
「その必要は無いよ」
突然聞こえた声に、史郎は振り向く。
「貴方は・・・イヅル王子」
笑みを浮かべたイヅル王子が仁王立ちしていた。
「君は彼女に関わらなくて良いよ」
「・・・何故、貴方にそのようなことを・・・?」
史郎は不信に思い、尋ねる。
「彼女は僕の物なんだからね。それに、君に思い出されたら困るんだよ」
イヅルはさらに笑みを濃くした。
その後、何も言わずに城のほうへ向かう。
史郎も後に続く。
仕事場へ向かうためだ。
二人は無言でそれぞれの目的地へ行った。
桃も部屋から出て目的地へ向かう。
城内にそれぞれの想いが木魂した。
+あとがき+
ルキアとイヅルが嫌な奴になっていく(汗
予定外なんですけどー;;;(知りません
史郎とイヅルの会話。
・・・なんか不思議な感じがした・・・w
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