耳を疑った。
まさかそんな事を言われるとは思っていなかったからだ。
「・・・それは出来ません」
考えて、ゆっくり答えを口にした。
本当は王に逆らう発言はしてはならない。
たとえ姫であろうとも。
だが、素直に従うわけにはいかなかった。
「何故だ」
恐い顔をして言う。
「・・・私は彼と約束したんです。待ってるって・・・。たとえ、記憶を失っていても、それでも良い。
それで自分が傷付いたとしても、乗り越えれば幸せになれるって信じたいんです」
一呼吸置いて。
「あの人以外を好きになることは出来ません!」
自由な結婚ができないとしても―
言いながら、桃の目から涙が零れる。
これで父に嫌われたって構わない。
それでも、彼との約束を守りたかった。
「・・・ふっ・・・」
「・・・?お父様・・・?」
突然、白哉が笑ったので、桃は驚く。
「・・・その言葉を待っていた、桃」
「え・・・?」
言われたことが理解できず、首を傾げる。
「・・・お前が何と言うか試させてもらったが、これなら心配あるまい」
「え・・・試したって・・・」
桃は信じられないという顔をする。
今まで見た事が無い白哉の様子に驚いた。
「桃・・・彼は記憶喪失だ。それも相当酷い記憶喪失だそうだ。お前が傷付くのは目に見えている。それでも良いのか?」
桃を見て、真面目な顔で告げた。
だが、桃の中では答えが決まっていた。
「はい!!それでも良いです!!」
はっきりとそう答えた。
「・・・そうか。ならば止めない。私も全力でサポートしよう。もし、取り戻したら婚約も認める」
その言葉が嬉しかった桃は、
「はい!ありがとうございます!!」
と、満面の笑みで答えた。
その後、桃は父と話しをした。
沢山話せたことで、桃は喜んでいた。
桃が戻った後。
「・・・あの子ならやってくれるかもしれないな・・・だが、問題は・・・」
呟いて、考え込む。
明るい未来を作るために、桃は歩き出す。
更なる衝撃が訪れることも知らず―
+あとがき+
桃と白哉の会話。
いまいち、白哉の口調が分からない;;;;;
レクイエム第一章なるものは、この話で終了。
次より第二章。
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