何を言ったのかが分からなかった。
信じられなかった。
「今・・・何て、言ったの?」
「明日から此処に来れない・・・」
理解して、涙が零れてきた。
拭っても拭っても、出てきた。
今まで、どんなに辛いことを言われようとも、言われた人物の前で泣かないようにしていたのに。
でも止めることが出来なかった。
そんな私を見て、彼が私をそっと抱き寄せた。
「え・・・?」
突然だったから、動揺した。
「桃・・・ずっと言いたかった・・・だけど、俺とお前の身分を考えたら言えなかった・・・」
「・・・・・・・なに・・・?」
「・・・好きだ」
聞いて、また涙が溢れ出す。
望んでいたものだった。
「・・・私も、好き、だよ・・・?」
泣きながら彼に告げた。
「・・・なぁ、約束しないか?」
「・・・なにを?」
「俺、また絶対お前に会いに来る。その時、俺と婚約してくれないか・・・?」
「シロちゃん・・・?」
「・・・次会った時、シロちゃん無しな・・・」
「え・・・?なんで・・・?」
「そりゃあお前・・・」
「ん?」
彼が何を言いたいのかよく分からなかった。
「・・・まぁいい・・・桃・・・約束、してくれるか・・・?」
「・・・勿論だよ・・・」
言って、彼の背中に腕を回して抱きしめた。
「・・・忘れるなよ・・・絶対・・・」
「・・・うん・・・ずっと待ってる・・・」
約束を守ることを確認して、シロちゃんは私に唇を近付けてきた。
それは、生まれて初めて経験した、愛する人とのキスだった。
彼と離れてから数週間後。
日番谷家が暴落したと聞いた。
城に会いに来なくなったのも、その危機を知ったからだと噂が立っていた。
それぐらい酷いらしかった。
それでも、私は彼を待つと決めた。
彼との約束を守ると―
そのためならどんなことだって乗り越えられる。
あの日々がもう一度来ると信じて―
+あとがき+
過去話最終話。
最終話らしく長め。
二人の行為や会話が大人すぎるのは・・・育った環境のせいだと思ってください(笑
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