第13話[予想外の贈り物]

その日は私の誕生日の翌日。
一年に一回の、憂鬱になる日の翌日―
昨日の誕生日パーティは愛想笑いをし過ぎた。
その疲れを取るのには良かった。
それに、昨日会えなかったシロちゃんに会える日で嬉しかった。

「桃!!」
「シロちゃん!!!」
「シロちゃんって呼ぶのやめろ」
「良いじゃない」
いつもの他愛も無い会話。
それがとても心地よかった。

「はい、桃」
突然だった。
私は最初差し出されているものが、何か分からなかった。
というより、信じられなかった。
「何?・・・わぁ、絵本!!!」
それは男の子が読む絵本ではなかった。
国中の女の子が持っているという、噂の絵本だった。
「やるよ」
その言葉が信じられなかった。
初めて聞いた言葉だったから―
「ありがとう!!」
そう笑顔で伝えた。
それに少しだけ照れたらしく、彼は頬を赤くしていた。

「・・・でも何で?」
疑問だったから聞いてみる。
「何でって・・・お前誕生日だったろ?昨日。だから親父がお前にやれってその本くれたんだよ」
と、戸惑ったような感じで言われた。
おじ様かぁ・・・。
でも、私は彼がごまかすときはおじさんを使うことを知っていた。
きっと頼んでくれたんだろう・・・と思い、にっこり笑った。
「嘘!!!覚えててくれたの?嬉しい・・・大切にするね?」

嬉しかった。
覚えていてくれたことが。
「おう・・・」
照れながら言う顔が可愛い。
顔を見ながら、こうやってずっと誕生日を祝えたら嬉しいと思った。


だけど、それは叶わない夢だった―


+あとがき+
過去話その2
8話の冒頭の過去の会話の桃ちゃんSIDE。
過去話、やっぱり書くのが楽しいですw