「はい、桃」
「何?・・・わぁ、絵本!!!」
「やるよ」
「ありがとう!!・・・でも何で?」
「何でって・・・お前誕生日だったろ?昨日。だから親父がお前にやれってその本くれたんだよ」
「嘘!!!覚えててくれたの?嬉しい・・・大切にするね!?」
「おう・・・」

あの日、あなたが私に本をくれた。
生まれて初めて貰った大切な人からのプレゼント。
私はそれが嬉しくって古くなった今も大切にしているの―

第9話[光導くとき]


誕生式典も終わりの頃、桃はルキアに呼ばれ、会場を出た。

「何ですか?」
「忘れられたのですか?今日はあの警察官の方をご案内するんですよ?」
「分かっていますよ」
「それなら仕度をしてください」
「はーい」

桃は部屋に戻り、ドレスから少しの時間だけ客人の相手をするときの服へと着替えた。
急いで待ち合わせ場所である客間へ行く。
そこにはもう史郎が来ていた。

「ごめんなさい!遅くなりました!!」
「いえ、構いませんよ。さ、案内よろしくお願いします」
「はい」

桃は送れたお詫びのために何かをしなければならないと考えつつ、城を案内する。
城を一周するのは久しぶりのことだった。
桃はニコニコしながら案内する。
その途中、桃は史郎を見ていた。
似ている。
とても似ている。
あの人に―桃の初恋の人に。

案内も終盤に入った頃。

「ねぇ、外に出たくない?」
「危ないんじゃないんですか?」
「大丈夫。外は外でも空中庭園だよ?」
「いや・・・でも・・・」
「大丈夫!!!私のものだから、ね?来て?」

そう言って史郎の腕を掴む。

「え・・・」
「ほら、行こう!!!」

桃はそのまま空中庭園のほうへ向かった。


+あとがき+
ついに案内編スタート!!!
詳しいことは11話のあとがき(この部分)で。
冒頭は過去話。
過去話はやっぱり大好きですw


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