第8話[誕生日の朝に]

桃姫が誕生日を向かえることとなった日の朝。
いつものように朝食を摂り終え、桃は部屋に戻った。
そそくさと式典の準備を始める。
着替えるためにクローゼットを開く。
服を出してから着替え始める。
着替えているとベットの上の絵本が目に入った。
『I believe You』、桃の大好きな絵本。
10年前の今日―つまりは誕生日に桃が探している大好きな男=冬獅郎に貰った物だった。
これを貰ったのは日番谷家の暴落する寸前だった。
しかも、これは彼がくれた初めてのプレゼントだったのだ。
嬉しくて、嬉しくて、桃は泣いて喜んだ。
今思えば最初で最後のプレゼントとなってしまったが。
そんな一生の宝物となった絵本を手にして、ギュッと抱き締める。

「シロちゃん・・・大好きだよ。いつまでも貴方だけを思うからね・・・」

そう呟きより一層強く抱き締める。

あの日から毎日誓い続けてきた
いつかこの願いが彼に届くと信じて―
約束も忘れるはずが無い
今は別の男のものだけど
でもそれは表の顔
本当はこれっぽっちもあんな男を愛していない
いつも貴方だけを思う
はやく私を迎えに来て
早くしないと 私他の男のものになっちゃうよ―? 


『只今よりサエティ国第一王女・桃姫様の誕生式典を開催いたします』
桃の誕生式典が行われた。

この時、まさかとんでもない事実を知ることになろうとは―
桃は知るよしもなかった。


+あとがき+
誕生式典編プロローグ。
話的には重要なものばかりになってくるので頑張って書きます。
ゆっくり進めていく予定ですのでよろしくです。


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