第3話[満たされない感情]
ある日の午前中。
「わあ!すっごく綺麗!!やっぱりここのお花はとっても綺麗だわ」
桃は庭に足を運んでいた。
城の庭には沢山の綺麗な花が咲いていて、桃はこの場所が好きでよく訪れていた。
庭にいるときは執事のルキアは付き添わない。
桃のためにゆっくり出来る時間を与えてくれるのだ。
なによりこの庭にはちゃんと警備の人間もいる。
「こんなところでなにをしてるのですか?」
ふと、声をかけられて桃は振り向いた。
そこには警察官が立っていた。
「ああ。警備の人ですか。お花を見に来ていたんです」
「そうですか。くれぐれも城の外には出ないようにしてくださいよ。危険ですから」
そう言ってさっていった。
その警察官が城に入っていく。
「えっ!?あの・・・警備の人はお城に入っちゃ行けないんじゃ・・・」
「ああ。王に呼ばれたんです。普段は入りませんよ」
そう言ってさっさと入っていった。
桃は警察官が入っていった城のほうを見ていた。
「桃姫!!!!」
後ろからいきなり声をかけられて驚いて振り向く。
「イヅル王子・・・」
桃の婚約者であるイヅル王子だった。
「今日はお庭を見ていたんだね」
「はい・・・時間が出来たので」
「そのおかげで一番最初に会えました」
そう言いながら桃に近づいてくる。
「あの・・・」
「そろそろ僕と結婚しませんか?」
「え・・・?」
「もういい頃でしょう?僕のことお好きなようだし」
何を勘違いしているのだこの男、と思いつつイヅル王子を見る。
「・・・・・・・・私達まだ若いし」
「また始まったね。桃の『まだ若いし』」
「えっ!?」
「知ってるよ。君には心に残っている人がいるんだろう」
驚いてイヅルを見る。
「なんで知って・・・・・?」
「噂を聞きまして。そんな男に恋しても一緒だよ。どうせ僕と結婚するんだよ」
「そんなことない!!」
桃は大声を上げた。
「桃姫・・・」
「お父様が探してくださるって言ったわ!母様だって!!それにあなたには関係の無いことよ!!!」
「どうせ、あの絵本のように絶望する日がきますよ」
「絵本?」
「『I belive You』だったけ?」
「!!」
「はは。僕がそこまで知ってるとは思わなかった?」
「イヅル王子・・・」
「怒らないで。君は僕の姫なんだから」
そういって桃を引き寄せる。
「えっ!?」
そしていきなり桃にキスをしてきた。
「・・・・ん・・・・・・・んふっ・・・・・いや!」
桃はイヅルを突き放す。
「おふざけが過ぎたかな。それでは」
彼は城の門のほうに行く。
どうやら桃に会いに来ただけのようだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・はやく会いたいよ・・・シロちゃん・・・」
唇を押さえ涙を流しつつ、桃は呟いた。
その頃王室では。
「よく来たね」
「いえ」
「君を呼んだのは、今度の桃の誕生式典に来てもらいたいからなんだ」
「え、俺がですか?」
「ああ。警備をしてもらいたいと思ってな」
「わかりました」
「頼むよ。史郎君」
「はい」
警察官と王が話をしていた。
桃の誕生日まで3週間となったある日の午前中の出来事だった。
+あとがき+
注:この長編小説は・・・(もういい
まぁ、今回は設定上しょうがないので。
イヅル、かなりキャラが変わってますな;;;
イヅル好きの皆さん、ごめんなさい;;;;;
史郎君ですが初めてこういう版権物にオリジナル出しました。
いろいろ謎ですが、ちょっとずつ明かしていきます。
そうだ『I believe You』っていうのはプロローグに出てきたお伽話の絵本のことを指してます。
一応言っておかないと混乱すると思うので。
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