神様お願い
私の願いを叶えて―

〜第1話『桃の姫君』〜

サエティ国。
ここはとても栄えている国だ。
工業も商業もなにもかも。
でもひとつだけ他の国と同じことがあった。
それは自由な結婚が認められていないところである。
この国の者は、婚約者と結婚させられる。
つまり、どんなに恋焦がれようが許されない。
それが上の身分のものであったとしても。
というより、上の身分になればなるほど難しいのだ。
例えば、姫など。


国の真ん中にある大きな城。
そこには桃という姫が住んでいた。

「うーん・・・やっぱり良い眺め!」

自室の窓の外を見る。
部屋は高いところにあるので、国中が見渡せる。

「そうでございますね。桃姫様」

桃の傍には、ルキアという執事がついて、桃に話しかける。

「・・・」
「どうかなされましたか?」
「あの方はどこにいるのかしら、と思って」

桃は笑う。
しかし、ルキアは少し怒った顔をする。

「・・・桃姫様!何度言えばお分かりになるのですか!!その方との結婚は無理ですよ!?」
「でも!あの方が良いの!!もうウルサ国からきたイヅル王子なんか嫌よ!あんな男趣味じゃないもん!」
「桃様!!それは絶対に口にしてはなりません!」
ルキアはそう告げ、足早に部屋を出た。


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